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認知症の方との接し方 | 専門医インタビュー②

2026/2/25

認知症だと診断されたあとも、ご本人の環境が整えば、失われた機能を最大限に発揮し、自分らしい生活を送ることができます。そのカギを握るのが、周囲の接し方です。

対応は、あまり変えない

家族が認知症と診断されたら。思わず相手のために何かをしてあげよう、支えてあげないといけないのでは?と身構えてしまいがちですが、大事なことは、あまり態度が変化しないこと、対応を変えないことです。

認知症の方は記憶力や理解能力、判断能力が落ちていますから、環境の変化に弱くなっています。急に家族のふるまいが変わったりすると、その変化に合わせられなかったり、自分のせいじゃないかと自責の念にかられて不安定になったりすることもあります。今までの対応は、そのまま続けるようにして、さりげなくサポートすることが大事です。

叱らず、黒子に徹する

家族は、自分たちの存在や言い分を強調しないほうがいいでしょう。たとえば、何かトラブルが起きたとき、「だから私が言ったじゃない」「それじゃダメだからこうしなさい」ということを言ってしまうと、ご本人はプライドも傷ついてしまいます。

認知症の方は、目の前の状況を頭の中で理解し、自分のやるべき動作を作り上げるのが難しいのです。つまり、言葉で説明して直させるのは難しいと考えてください。軽度の場合には理解できることも多いのですが、それをあてにしないこと。仮に周囲がサポートしても、黒子に徹して、ご本人が自分でやったかのようにサポートし可能な限りやり遂げてもらうことも大事です。

感情をぶつけずに

認知症の方は、感情的に怒ったような言葉を発してしまうことがあります。しかし、その多くは、何か特別な理由があって怒っているわけではなく、頭の中の混乱によるものです。家族のほうがさらに感情的に言葉をぶつけてしまうと、いっそう混乱させてしまい、収拾がつかなくなることもあります。

認知症の方は、考えがまとまりづらく、話している間に、怒りが消えていくこともあります。感情のしこりさえ残さなければ、そのイヤな話は、頭のなかから消えてしまいます。まずは話を聞いて、耳を傾けてあげましょう。そうした対応を身につけておくことが、家族自身のストレスを軽減することにもつながります。

認知症は、誰の中にもある

具体的な対応方法も大事ですが、認知症に対する「認識」を改めることも大切です。認知症を、とても厄介な「病気」だと考えずに、いずれは自分の身にも起きる、当たり前の「老化現象」のようなものだと考えてみてください。脳の変化は、認知症を発症する 30 ~ 40 年前に始まります。中年になれば、認知症への歩みとともに私たちは生きています。認知症は「ライフステージ」のようなもので珍しいことではありません。

社会が認知症の家族を支える姿を、次の世代も見ています。将来は自分が介護される側になるという割り切った意識を持って、人との向き合い方を考えてみるといいかもしれません。

監修:福島県認知症疾患医療センター
舞子浜病院 田子久夫先生